
こんにちは。Altoneです。
ピアノやバンド、DJをはじめ様々な音楽活動をこれまでしてきましたが、個人のトラックメイカーとしてレーベルと呼ばれるところから契約しリリースするようになったのは2018年のことです。実は結構最近なんですね。
それまでは気まぐれに気ままに制作しながらなんとなく上手にできた曲をサウンドクラウドに投稿する。完全な趣味として嗜んでいましたが、ふと海外のレーベルに送ってみようと思い立ちました。ただの思いつきです。
そこからはあれよあれよという間にリリースを重ね、リミックスや共作などの依頼も来るようになり大変光栄な限りですが、最初の方は言語の壁に悩まされることも多く、四苦八苦しながらだったのを懐かしく思います。
今でこそ、アメリカ、イギリス、ドイツ、ロシア、フランス、ベルギー、スペイン、イタリア、オーストラリア、リトアニア、ポーランド、スイス、ブラジル、アフリカ、など、それこそ英語圏を飛び越えた先でのリリースも叶っていて、これは夢のようなことではありますが、僕の英語力は正直言ってThis is a penレベルです。Google翻訳がお友達です。
(最近ではGoogle信じてません。結構酷い、というか入力する側の多言語な文法力?に依存するので、翻訳後の英語の文法を想定しながら日本語を入力しないとおかしなことになります。)
海外レーベルと契約、リリースしましょ
僕含め、どうも日本人は島国特有のコンプレックスを抱きがちで、英語アレルギーや外国人アレルギーなるものを発症している節が散見されますが、せっかくいい曲作れるのだからもっと世界中の人の耳に届けたらいいのに・・・。と思うことが多いです。
こんな小さな島国で、グローバルな音楽をやっているのだから、もっと聞いてもらったらいいと思います。
というわけで、僕の経験を元に海外のレーベルにデモを送ってから実際に流通に乗るまでの大まかな流れを今回はご紹介したいと思います。
自分なんてまだまだだし・・・。英語ができないし・・・。なんて尻込みしなくて大丈夫。
海を飛び越えた先の人たちは、猿でも作れるような酷い曲でも、めちゃくちゃな英語でひたすらアプローチしてきます。自信満々で笑
「まだリリースできるクオリティじゃないよ。英語がなんかおかしいよ。」と伝えても、「OK!ありまとう、また送るれ!」なんて返してきます笑
※といっても僕はダブテクノという非常にアンダーグラウンドな音楽をやっているため、もっともっと大きなレーベルとか予算が大きな会社からの実績はありません。その辺はもっと偉い人に聞いてみてくださいね。
デモの送り方
デジタルミュージックを制作している人であれば、レコードでのリリースは夢ですよね。またはCD?テープでしょうか。
もちろん、超大手、名門と呼ばれるレーベルに送るのは全然アリですが、彼らの元には週に何百というデモテープが送られてきています。まず、聞いてもらえない。それに、名門であるほど1〜2年先までリリースのスケジュールは埋まっているし、レコードであれば何万枚と売れるような世界ではないため、完売を前提とした初版数、100〜300枚くらいをファーストプリントとして擦ってリリースします。当然そのクオリティでなければ箸にも棒にもかかりませんから、ハードルはとっても高いです。
無名であれば尚更、聞いてももらえないことがほとんどでしょう。
しかし、それでもなるべく聞いてもらえる方法は、まずあなたがリリースしたいと思うレーベルのデモを受け付けている窓口を探すところにヒントがあります。
小さなデジタル流通のみのレーベルであれば、サウンドクラウドや公式サイト(ないところもたくさん)にDEMOのページやCONTACTのページが見つかればラッキーです。そこから送ってみましょう。大体はDemo Policyと言ってデモを送る際の注意点が記載されているので、最低でもそれは守るようにしてください。
多くは、送る際の曲のフォーマット(データで送るのか、投稿されている曲のプライベートリンク、最近ではサウンドクラウドのプライベートリンクを送ってね。というところが多いです)や曲数に指定があります。あとはしっかりとそのレーベルのスタイル、カラーにあっていることは当然です。
で、そうしたDEMO受付ページが見当たらない。名門レーベルだけど聞いてほしい!そういう時。
僕はまず、レーベルが運営するFacebookページを探します。もしくはオーナーのFacebookアカウントに友達申請を送る。
日本と比べて海外はFacebookの利用率がとても高いです。我々にはLINEというコミュニケーションツールがありますが、英語圏の方はほとんどがFacebookメッセンジャーなので、Facebookページもしくは個人のアカウントに直接メールします。実は公式サイトから送るよりこっちの方が可能性が高い場合があります。
メールの例文
送りたいレーベルが決まったけどどんなメールをしていいかわからない方向けに簡単な例文を記載しておきます。参考にどうぞ。
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Hi (宛先) こんにちは。(宛先)
Nice to meet you! 初めまして。
Im a Techno producer. Altone based in Japan. 私は日本で活動するテクノのプロデューサーAltoneです。
I want to release on (レーベル名) (レーベル名)からリリースしたいです。
Could you check my demos? デモを聞いてもらえますか?
I hope you like it. あなたが気に入ってくれることを願っています。
Best regards 敬具
Altone
みたいな感じ笑
文法はおかしいのかもしれませんが、僕はほぼ全てこれでやってます。返事きます。
マスタリングについて
デモ送付後、気に入ってもらえた場合はリリースまでの詳細を詰めていくことになります。主に、リリース形式は?デジタルなのか、フィジカルなのか。曲数は?VAなの?EP?
基本的にデジタルだろうとフィジカルだろうと全体的な流れは変わりません。フィジカルの方がレーベル側の準備に時間がかかるため、リリースがちょっと先になります。あとは、フォーマットによって収録可能なデータ量に制限があるくらいです。通常の12″インチ/LPなら片面15分?(回転数や求める音質でも差があるみたい)CDなら約74分とかそんな感じ。
やりとりは当然全て英語ですが、ここらへんの会話は全てGoogle翻訳で大丈夫です。頑張ってください笑
大まかなリリースの内容が決まるとマスタリングに進みます。もちろん自分でマスタリングして提出することが可能な場合もありますが(僕は数回自分でやりました)、大体の場合はレーベルが抱えているマスタリングスタジオやエンジニアがいるので、そこにミックスデータを送ることになります。
その際には、プリマスターデータと言ってマスタリングする前のミックスデータを作る必要があります。
ほとんどは24bitのwav、44.1khzかそれ以上。マスターにはリミッター、コンプレッサーを一切かけずに、マスターボリュームのピークから-3〜4db下げた状態(ヘッドルーム)で書き出してください。このデータはマスタリングにかなり影響する部分なので、慎重に処理するようにしましょう。僕は雰囲気でやってしまうので、よく指摘されてしまいます。「低音削って。」と笑
アートワークについて
次に、リリースタイトルの大事な顔となるアートワークについてですが、これはレーベルによって様々なので臨機応変に対応しましょう。こだわりがある人はpsdデータを送ってあげたり、画像やイメージについて指定するのもありです。
中にはリリースする曲のストーリーやアートワークのデザインについて細かく議論してくれるレーベルもありますから、英語力が試されます笑
せっかくだし、EPのイメージをしっかりと伝えられるカッコイイデザインにしたいところです。
僕の場合は、自分がデザインしたロゴ、アーティスト写真、簡単なアートワークをいくつか、それからバイオグラフィーとディスコグラフィーのテキストファイルを予め自分用プレスファイルとして用意してあるので、ミックスデータと一緒に送ってあげることが多いです。特に思い入れが強いタイトルの場合は、自分で撮影した写真や絵を送って使ってもらうこともありました。
契約/売上について
音源データやアートワークの準備が進んできたところで、忘れていたように契約書が送られてきます笑(僕がそう言ったルーズなレーベルが多いのか、直前になって送られて来ることが多い)
売上についてもこの辺で明らかになってきます。ちゃんとしたい人は、話が進む前にしっかりとやっておきましょう笑
契約書(Contract)はだいたいがPDFで、難しそうな英単語がズラーっと並べられています。書いてあることは著作権や売上についてですが、基本的にはLicensee(ライセンシー)レーベル側と、Licensor(ライセンサー)あなたの両名が締結するものになります。Licensorには自分の住所と名前を記載し、最後にサイン(SIGNATURES)して終了です。判子は不要です。日本だけのアホな文化です。
流通
流通(ディストリビュート)については、デジタル、フィジカル関わらずほとんどのレーベルが流通専門の会社と契約しています。契約書には当然その記載もありますが、簡単に説明するとiTunesやSpotifyなどのストリーミングサービス、フィジカルならBoomkatやJunoなどの小売店、それぞれを介し再生や販売が行われると、各プラットフォーム側に手数料を支払い、残りをレーベル側とプロデューサー側で分配することになります。
中には販売管理をディストリビューター側で行ってくれるところもあり、そうした場合はあなたとディストリビューターが契約するケースもあります。デジタルで多いと感じるのはProtonというディストリビューターで、ここにはプロデューサー専用の管理画面もあるため、レーベル毎の自分の売上や入金までを一括して管理できるところもあります。
※ロイヤリティの受け取りに関してはある一定($100とかが多い)の売上に達しないと出金ができないところがほとんど
プロモーション
アートワークやマスターデータが完成すれば確認の連絡が来るのでしっかりとチェックしましょう。
さらにプロモーションのためにあなたのSNSのアカウントや、プロフィールの用意が必要かもしれません。積極的に応じて良いリリースができるようにお手伝いしてあげられるといいですね。僕はSNSを使ってフレンドやファンに告知を行うことが多いです。オススメなのはFacebookグループといって特定の趣味によって集まるコミュニティがありますから、そうしたたくさんの人が集まる場所にどんどん投げていきます。有名なDJやラジオ、音楽メディアにプレスを打つこともあります。
プロモーションについてはレーベルによって力の入れようが様々で、特にデジタルのみの予算があまりかかっていないリリースの場合はのんびりしがちなので、お尻を叩いてあげることもいいでしょう。
ヴァイナルの場合は、イギリスだったかな?デジタルミュージック専門のプレスリリースサービスがあって、リリース情報をばら撒いてくれます。そこに登録している国内外のDJ(Richie HawtinやCarl Coxなどビッグネームがこぞって登録しています。日本人だとFumi Satoshiさんとか)に音源が公開されるんですね。しかもちゃんとフィードバックがもらえたりして、かなり興奮できます。
※↓ここでチラッと紹介しています。
リリース
おめでとうございます。
初めてのリリースはとても嬉しいもので、今でも当日はウキウキします。
リリース後の音源の取り扱いについては契約書を参考にする必要がありますが、DJなどがデータを催促してくることがあるので、ちゃんとレーベル側に確認するようにしましょう。
もちろんここでもSNSでの発信やプロモーションを忘れずに。
レーベルとタッグを組んで信頼関係を築けば、次回作のオファーやリミキサーとしての打診も積極的にもらえるようになります。
リミックスについて
リリース後の音源について、ラジオやYoutube、Podcast、またはリミックスしたいという依頼がくることもあります。
こちらも同様にリリース後のトラックの取り扱いについてはレーベル側に確認してください。
僕は一度、大物トラックメイカーにリミックスさせてくれと言われ有頂天になってしまい、曲のミックスデータを無断で渡してしまったことがありました。その後勝手にリリースされたことに気づいたレーベル側からは、結果的にプロモーションに繋がるからよかったものの結構怒られました笑
気をつけましょう。
最後に
ニッチな音楽であるほど、それで生活ができるほどこの世界は甘くありません。
しかし広い世界に確かにそのジャンルが根付いているのは、少ないながらも確実にファンがいて、コミュニティがあることは確かなのです。
それは日本にいるだけでは届かないほど小さなものかもしれません。だからその橋渡しの役割として、僕はレーベルからリリースを続けます。
自分が命を削って作った大好きな音楽を少しでも多くの人に、できれば同じように大好きな人たちに向けて。
そうして届いた自分の音楽に対する世界の反応は、自分の人生を大きく変えてくれます。
その最初の一歩を、ぜひ踏み出してみてください。
