チェック必須!歴代最高の【ダブテクノ25選】これさえ押さえればOK:後半

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前半に続き、絶対に聴いていただきたいダブテクノの名トラック25選を、英ファクトマガジンからの記事を引用し独自の解説も混ぜながらご紹介しています。

前半はコチラ↓

https://0-signal.com/2019/01/16/best-dubtechno-tracks/

 

Convextion – Ebulience (Matrix Records, 1997)

ベルリンを中心としてシーンを作っていたダブテクノサウンドですが、リリース作品こそ多くないものの、デトロイトにおいてダブテクノの面白さに貢献した1人でもあるConvextion(Gerard Hanson)の出世作です。

デトロイトテックらしいビートメイクと、スタブコード、飛んでくるパッドはアップテンポですが、ウォームなファズや膨らむエコーはChain Reactionからの影響を感じずにはいられません。

 

Theorem – Cinder (M_nus, 1998)

Richie Hawtin主催カナダとベルリンに拠点を置くM_nusから、アメリカ人プロデューサーTheorem (aka Dale Lawrence)がリッチーの初期ダブワークに影響を受けた実験的作品。

曇ったベース、キックに、フェイザーによって揺らされたパッドがメジャーコードを響かせますが、不思議と明るすぎず、都会の喧騒のようなざわめきと、対照的な落ち着きを内包しているアンビエンスを併せ持っています。

 

Rhythm & Sound – Carrier (Rhythm & Sound, 1999)

このErnestusとvon Oswaldによる実験的な試みはダブテクノのほぼ全ての手法、原点を形づくりました。レゲエを原点としてこの鮮烈なカットは、エコーとリヴァーヴを使って、テクノに壮大な世界をもたらしています。

Rhythm & Soundの歴史的な名盤の1つとして数えられています。

 

Vladislav Delay – Lehka (Max Ernst, 1999)

ベルリンにて1998年に設立されたThomas BrinkmannのMax ErnstからVladislav Delay(aka Sasu Ripatti)という名の下にあるフィンランドのプロデューサーSasu Ripattiの2番目の12インチは、彼を一躍シーンのリーダーへと昇格させました。

不可思議なサンプルループがノイジーな現実感を醸し、シティライクなオルガンコードの上に心地よいスタブを跳ねさせ、あくまでもミニマルな130BPMほどのグリッチエレクトロダブといったところでしょうか。当時において非常に斬新でモダンなテクノであったに違いありません。

その後数多くの名義を使い分け20枚以上のアルバムをリリースしたSasu Ripattiは、Moritz Von Oswald Trioのメンバーとしての活躍だけに止まらずクラシックやポップミュージックまで幅広く手がけています。

 

Kit Clayton – Nele (~Scape, 1999)


アメリカ合衆国出身Kit Claytonは2000年以降その実験的なノイズ、ダブサウンドがじわじわと人気を集めていきますが、この不可思議なダブテックサウンドは妙に開放的で呪術的なサウンドスケープを持っています。

初期のEP Nek Purpaletとそれに続くNek Salanetは彼の最も成功した作品になりますが、Neteこそ独特でそのオルガンコードの上になるループフレーズとレゾナンス強めのスタブが印象的で、実験色強めなClaytonはその後数々のレーベルからのリリースや、シンセプログラムの開発にも従事します。

 

Pub – Summer (Vertical Form, 2000)


さてようやく2000年代に入ってきましたが、UK出身のプロデューサーPubが放ったのはChain reactionらしいパーカッションとバレアレスなトランスの影響を強く受けており、当時のシーンにおいてはその優しい開放感と叙情溢れるスタイルがリスペクトされ、Vertical Formの1番としてリリースされましたが、その後たくさんのリミックス、リシェイプされたバージョンが存在します。オリジナルの12インチB面に収録されたVladislav Delayのリミックスも最高です。

アンビエンスながらもフェイザーが聞いたようなスタブがループし、ディレイがかったパーカッションが反復している様は現在のダブテクノの礎となった事は間違いないでょう。

 

Fluxion – Bipolar Defect (Chain Reaction, 2000)

ダブテクノをFluxion抜きで語る事はできないでしょう。それくらい強烈なオリジナリティと独創的なサウンドワーク、実験性、ストイックなトラックメイクへの飽くなき探究心は、ダブテクノを超え音楽シーンに大きな影響を与えました。

まさに傑作中の傑作であるChain reactionからのリリースVibrant Formsは1〜3まであり、ギリシャ出身のKostas SoublisはChain reaction、Echocord、Resopal Schallwareを中心にリリースを続けていきます。

その後20年近く何度もマスタリングが繰り返され、リイシューされるこの作品は一定のベース、エコーのかかったストリングスにノイズ、じわじわと変化し続ける幾重にも重ねられたエフェクトから紡ぎ出される奇怪なスタブは、しかしどこまでも美しく私たちを魅了させ続けています。

 

DeepChord – Untitled’ (DC11 A) (DeepChord, 2001)

Rod ModellとMike SchommerからなるユニットDeepChordこそ彼らの出身であるアメリカ合衆国のテクノシーン、とりわけ当時のデトロイト中心のムーブメントにダブを注入することによる大きな影響を与えました。実験的なグリッチサウンドとミニマルな展開によるディープなアンサンブルは、キックとベースのみで時を刻み、ダビーなパッドがアンプを揺らす物悲しく壮大なダブテクノの始まりを告げたのです。

中心人物であるRod ModellはSteven HitchellとのEchospaceやcv313といった名義を使い分けひたすら進化を続けるエレクトロミュージックシーンにおける重要人物である事は間違いありません。

 

Carl Craig – The Climax (Basic Channel Reshape) (Planet E, 2001)


デリックメイなどのデトロイトテクノの第一世代より発掘されたアメリカ人Carl Craigは最早説明の余地はありませんが、自身のレーベルPlanet EよりリリースしたPaperclip People名義でのトラックThe Climaxをリリースしたのは1991年のこと。それをBasic Channelが再定義したのがこのトラックです。

リリースされたのは2001年、それまでの長い期間のプロモーションではあまり期待をされていなかった?ようですが、デトロイトテクノの文脈を引き継いだパーカッシブなノイズワークに加え、スタブに強烈にかかったフィルター、ディレイワークは何度もリプリントされるほどの伝説的な1曲です。

 

Signer – Building Memories Without You (Car Park, 2002)

Bevan Smithことニュージーランド出身のSignerはリリース枚数こそ少ないものの、ギターを用いたポストロックダブ的なアプローチをすることでピッチフォークにも取り上げられるほど。自身のセカンドアルバムLow Light Dreamsより本作品はダブテクノの名盤の1つとして数えられています。

左右にパンニングされるクリックパーカッションループは不可思議なトランシーさを与え、圧縮されるストリングスはいつまでも聞いていたくなるような心地よさと哀愁を漂わせています。シンプルながら、こもったベースのミニマル感を聞いていると実に熟成されたトラックであることが良く解ります。

 

Brendon Moeller – Merry Go Round (Earsugar, 2006)

1994年より長いキャリアを持つNY在住Brendon Moellerは数々のリリースとプロジェクトに携わっています。とりわけモジュラーシンセに傾倒し、その実験的で探求心の尽きないスタイルは多くのアーティストから指示され、近年ではEchocordからのリリースも注目です。

さて、本作品はBrendonがBeat pharmacy 名義で自身のトラックMerry Go Roundに、ジャマイカのダブアーティストMutabarukaからのボーカルパフォーマンスを使用して作り変えたものになります。じわりとレゲエの潮流を汲みながら、呪術的なボイスと強いビート、硬質な反復感はモジュレーションによってグルーヴを制御され、怪しくもハイテンションなミニマルダブに仕上がっています。

 

Echospace – Aequinoxium (Modern Love, 2007)

2002年UKマンチェスターより、ポストインダストリアルなニューウェーブとして後の近代エレクトロを牽引する代表的なレーベルが誕生しました。テクノ、IDM、ダブ、グリッチなどセカンドシーンをひた走りながらオルタナティブで前衛的なテクノの新しい解釈を追求し続けるのがModern Loveです。

00年代当初、BasicChannelの衝撃が一段落したころ、実はダブテクノは一時低迷します。それこそもっと煌びやかなテクノやパーティーシーンの変化によって影響を受けたものではありますが、それでもDeepchordことRod Modellは、Steve Hitchellと共にダブテクノ史上最重要とも言われるフルレングスのアルバムThe Coldest Seasonを完成させました。

全曲捨て曲なしで、Deepchordの代名詞とも言われるこの摩訶不思議なモジュラーダブテックは完成するのです。※Deepchord Presents: Echospaceとクレジットされていますが、EchospaceはRod modellが主催するレーベルでもあり、プロジェクトでもあります。(こちらとしては混乱するのですが。。)

どこまでが、シンセなのかノイズなのかパーカッションなのか、理解が追いつかないほど複雑かつ巧妙に練り上げられた音の粒が雨のように風のように降り注ぐ世界は、飽くまでミニマルながら唯一無二の金字塔を打ち立てたのです。陶酔するしかありません。

 

Yagya – Rigning Tvö (Sending Orbs, 2009)


アイスランド出身、現代のダブテクノ界において鬼才と呼ばれるYagyaは10年以上のキャリアを、コンピューターサイエンスを専攻していた彼ならではの緻密さと繊細さによって作り上げました。時にボーカルや管楽器、フィールドレコーディングやアナログ機材を使用するアトモスフィックでオーガニックなサウンドは陰鬱でありながら儚くも美しい様相を持っています。

本作は2009年オランダ発Sending Ordsよりリリースされ、GasやFluxionにも愛されるYagyaの代表的な作品の1つで、アンビエントアルバムとしても高く評価されています。

 

In Aeternam Vale – Ultrabase (Minimal Wave, 2013)


80年代より何とも長いキャリアを持つフランスの音楽家ユニット、Silent ServantことIn Aeternam Valeはその国のアンダーグラウンドテクノシーンをリードしてきたパイオニアです。

実際のところUltrabaseは1990年には録音されたと言われていますから、最古のダブテクノ?との噂もあるとかないとか・・・。新しさこそ今ではありませんが、確かに古めかしい不穏なベースループに反響するスタブが力強いキックにより引っ張られている様は、デトロイトテクノやテクノルーツ的な印象を受けます。

Veronica Vasickaが2005年に立ち上げたMinimal Waveは日本においても人気があるレーベルですが、長らく未発表だった本作品を2013年にリリースされたものになります。

 

TM404 – 303/303/303/606/606 (Kontra Musik, 2013)


ラストとラックはスウェーデン出身のAndreas Tillianderが最も成功したと言われる名義TM404でのフルレングスから、その名の通りRoland社の名機TMシリーズからナンバリングを並べた物。機材マニアと謳われるほどハードに造士のある彼ならではのタイトルですが、『TM404』とは、日本語におけ“死”と同音であることをRoland社が80年代に唯一リリースしなかったナンバー、“4”を用いているのだとか。

ローテンポでありながら力強いベースワークやノイズ、スペースエコーの反響を楽しめますが、本人曰く『somnolent(眠気を催す)acid』と、呼んでいるそうです。

 

最後に

いかがでしたでしょうか。

改めてダブテクノの歴史を振り返ると共に先人たちの才覚や稀有なアイデアに触れることが出来ました。

遠い日本からシーンをリアルタイムで感じることのできなかった側からすると、90年代という物質主義からテック主義へと変革する直前、世紀末的な不穏をクラブシーンというサブカルチャーから通した世界は、陰鬱さが反響し、抑圧され圧縮されたコードやノイズは、美しくもどこか儚く物悲しい孤独な世界を目指しているように私は感じました。

喧騒から切り離された精神世界のような、自然回帰する心とテクノロジーへの矛盾のような、そんな不安定さは、逆に安らぎを与えてくれる。そんな音楽だと私は思うのです。

 

 

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